PHOTO STORY:MADE IN TOKYOのリアリティ。この道60年の職人による"家内制手工業"を覗く。

"MADE IN TOKYO"ときいて、きっと多くの方は洗練された工場でのライン作業を想像されることでしょう。

しかし、リアルな"MADE IN TOKYO"は、海外や国内の地方工場よりもはるかに高齢化が進んでいます。とくに東東京にはすでに若い職人がほとんんど残っていません。残っている職人たちは皆ほとんど60代以上で、その多くが家内制手工業=いわゆるマニファクチュア的な、家業を細く太く、そして長く続けている方々です。

誰もが知る日本のメゾンブランドが1970年代に世界へ出ていく際、こうした職人たちの手でものづくりがされていたことを、そろそろ東京も忘れ始めているかもしれません。現在も国内のブランドやセレクトショップのアイテムを縫い続けていますが、ブランドのデザイナーも、OEMを請け負う商社の社員も、誰一人この工場(こうば)へ足を運んだ者はいないとか。

東東京でものづくりを始めて4年あまり、<EASTFAREAST>もようやく足を踏み入れることを赦していただきました。

今回の職人さんは御年78歳。<EASTFAREAST>の製品は、こうした職人たちが1点1点、AMラジオとミシンの音だけが聞こえる小さな工場(こうば)で縫製しています。ミシンの年齢もうん十年。そのおかげで、時間も手間も地方の工場よりは何倍もかかりますが、残された手によるものづくりを遺しておきたい、という変なプライドだけでお願いしています。

時代の空気をまとわない、残り僅かな東京の時間がここにあります。